■ 住まいの本質

 
 
  ■ バランスと役割

   住宅の室内環境に大きな影響を与える要素に、断熱性、気密性、および換気量があり、それ
   ぞれ数値化して表すことが出来ます。
   @断熱性は、熱損失係数(Q)で表され、数値の小さい方が断熱性が高いことになります。
   A気密性は、隙間相当面積(C)で表され、数値の小さい方が気密性が高いことになります。
   B換気量は、換気回数(N)で表され、回数が多いほど換気量が多いことになります。


    性能の独立性
   熱損失係数(Q)は、屋根、壁、床、窓、玄関ドア等の各構成部位の断熱性を総合した結果
   であって、各構成部位の断熱性、断熱の施工精度は反映されません。
  
   隙間相当面積(C)は、気密層、あるいは防湿層の施工精度は反映されますが、断熱性(熱
   損失係数)は反映しません。

   換気回数(N)は、換気量の大小を表しますが、断熱性(熱損失係数)及び気密性(隙間相
   当面積)は反映しません。
 

    性能のバランス
   つまり、室内環境に大きな影響を与える、断熱性、気密性、換気量の間には何の因果関係も
   成り立たないのです。
 
   例えば、断熱性が気密性(防湿性)より高いバランスの場合は、室温は確保されますが、構
   造体側に内部結露のリスクが発生します。逆に低いバランスの場合は、室温の確保が難しく
   なり、室内側に表面結露のリスクが発生します。

   換気量が多すぎると、空気の質は高くなりますが過乾燥になり、エネルギーロスも増えます。
   逆に少なすぎると、エネルギーロスは減少しますが、高湿度になり空気の質が低下します。
 
   また、窓の断熱はそのままにして、壁などの断熱材を厚くすれば、熱損失係数(Q)は小さ
   くなり、家全体の断熱性は向上しますが、そのことは、窓に結露が発生するリスクが大きく
   なることを意味します。

   この様に住宅は、断熱性、気密性、換気性など、それぞれの性能と機能が相互にバランスさ
   れていなければ、「快適な室内環境」を実現することは難しいのです。


    バリア層
   屋外の環境から室内の環境を守るためには、いくつかのバリア層が必要です。
   それぞれのバリア層には明確な役割と共に決まった順序があり、この役割と順序を誤ると役
   目を果たさないばかりでなく、住宅に致命的なダメージを与えます。


    バリア層の構成順序と役割
   各バリア層の構成順序(室内側から)と役割は、次の通りです。
   1.防湿層・・・室内の水分が構造体の部位に漏出するのを防ぎます。
   2.断熱層・・・文字通り断熱を担っています。
   3.気密層・・・フラグ現象などにより断熱層内部に屋外の空気が侵入するのを防ぎます。
   4.透湿層・・・防湿層で防ぎきれなかった水分、あるいは断熱層、気密層から発生した水
           分を外側に通過させます。
   5.通気層・・・透湿層から出てきた水分を屋外に放出する機能と、外部から侵入した雨水
           を屋内側に通さない機能も受け持ちます。

   このように、住宅の構造強度(耐久性)と、快適な室内環境を維持するためには、様々な仕
   掛けが必要なのです。


   ※一般的に、防湿層と気密層が同一に論じられていますが、防湿層と気密層の役割は別のも
   のです。